2/9  下目黒 五百羅漢寺 ヤマザキ報告 (油証文・写真)

天恩山五百羅漢寺
 江戸時代に松雲元慶禅師が彫造した五百羅漢像が安置してある(現存305体)。
 JR目黒駅 徒歩15分    東急目黒線 不動前駅 徒歩10分
  拝観時間 9:00〜17:00     拝観料 大人 300円   学生 200円




    ラカンの伝言

五百羅漢 「Show ! Jack hits Met's,  Escher, Joe, Lee〜!! (全員合唱)

おれ 「え。 …… あー、『生者必滅 会者定離』ですね。さすが庶民信仰の人気者、五百羅漢の皆様、流行のラップ調ですね」

五百羅漢 「道は目の前にあります。真っ直ぐに行きなさい (全員唱)

おれ 「うん? それ、山頭火の言葉じゃないですか」

五百羅漢 「…………………………………………………」

おれ 「えーと、それでは羅漢さん方にお尋ね―

五百羅漢 「(遮って) あなたの聞きたい事は判っている。『いつ世界が平和になるのか、いつ飢えた子供がいなくなるのか、いつ私は幸せになるのか』であろう (全員唱)

おれ 「グフッ」

五百羅漢 「あなたが世界を平和にするのだ。あなたが飢えた子供の腹を満たすのだ。あなたが自身で幸福になるのだ (全員)

おれ 「え〜。だってー」

五百羅漢 「『だって』じゃない! 生きているあなたがおやりなさい (全員唱)

おれ 「んんん〜。でもー」

五百羅漢 「『でも』じゃない! それでは、すでに死んでしまった人々が世界を平和にするというのか (全員唱)

おれ 「三歩あるくたびに、後ろをふり向かないと不安で仕方のない元家具職人は、マグロの頭をかぶりますか。またその際、ドロップアウトした蟻男は、酋長のペダルを香港経由で噴火させますか?」

五百羅漢 「たわけめ! そんな事でごまかそうとしてもだめだ。この卑怯者!(全員)

おれ 「うううっ……… びえええええーん (号泣)



 おれは土下座の体勢のまま後ずさりして、寺から逃げ帰った。


 この項つづく



        
2/14 下目黒 2 ( 9日のつづき)


付記


● 五百羅漢寺本堂内には正面に釈迦像、その両脇に弟子の高僧、左右の壁側に、百五十九体の羅漢像が安置してあり、それらの像に取り囲まれて、テープで放送されている釈迦の説法 (もちろん日本語だが)を聞いていると、二千年前のインドで教えを受けているような気持ちになる。

 ほとんど呪文化している意味のわからないお経を聞くよりも、ずっと仏教の真髄に触れられるような気がした。







(本堂内は写真撮影禁止のため、本堂外観の写真のみ掲載)

● 前記の通り、本堂内は写真撮影禁止。羅漢像が安置してある羅漢堂も同様。9日のトップの写真は、羅漢堂の出口の外側より撮った写真から切り出したものである。

毎度の事であるがなぜ写真撮影禁止なのか理由が分からない。特に釈迦教団では、釈迦の遊説中、鐘や太鼓で「釈迦の説法があるので、ぜひ聞きに来られたし」 との広報活動した尼さんたちがいたほどであるから、逆に写真撮影を奨励すべきであろう。


● 羅漢堂に展示されている羅漢さん達には、一人一人名前と、短い解説が掲示してある。
例 : 境界尊者 (きょうがいそんじゃ) 自分自身を静かに見つめる
慧作尊者 (えさそんじゃ) 穏やかな顔とやさしい言葉
恵依王尊者 (けいえおうそんじゃ) いま生きてゆくことをよろこぶ
日照明尊者 (にっしょうみょうそんじゃ) 千年の闇も光ひとすじ入れば明るくなる
摩訶羅尊者 (まからそんじゃ) 愚かなるゆえに悟りを得る人あり

などである。
羅漢さんの像と、名前および解説を見比べていくだけで、おれのような不信心者でも不思議に心が落ち着いていった。

● この目黒の五百羅漢寺に現存するのは305体なので、すべての羅漢さんの名前を知ろうとインターネットで調べていたら

「超絶倫尊者」

の名を発見。どのような姿態の彫像だったのか、想像が果てしなくとんでもない方向に発展していくが、現存せず。残念。

● 取材日、五百羅漢寺にたどり着く前に道に迷い、目黒不動の裏道に入りこんでしまい、仕方なしに、住宅街の道を歩いていくと、壁や塀などの境界がないまま、いつのまにか周りが墓地になっていた。

「日常」と「非日常」の区別があやふやな「つげ義春」的風景が現実に出現したので、うれしくなった。
この墓地には「甘薯先生」の名で親しまれている青木昆陽の墓があった。






 この項おわり。








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