矢沢 宰 (やざわ おさむ) 1944-1966
遺稿詩集「光る砂漠」より「五月の詩」


僕は、燃え殻ではない

一つのベッドをあたえられて

悲しみながら

じっとがまんしているんだ、

「ちょっと今晴れているか、空を見てくれ」

人間て言う奴を

考えれば考えるほど不思議に思える。

その不思議の深さを

本当にはっきり見た人が

死んでいくのだろうか。

花は花としてみたい

草は草として見たい

かわいい女の子を

そうと手のひらに乗せて

いつまでもいつまでも

見ているような気持ちになりたい

そんな気持ちになるよう

がんばろう!

                    

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